新型コロナウィルス感染症

データに基づく高齢者の新型コロナウィルスのよくわかる感染予防方法

高齢者 新型コロナウィルス 予防

高齢者が近寄ってはいけない場所

新型コロナウィルスに感染した人のうち8割の人は軽症あるいは無症状で(出典1)、新型コロナウィルスに感染しているとの自覚が、ありません。このような人が、お酒を飲んで、大声で話をしたら、コロナウィルスを含んだ唾が飛び散ります。みんな、マスクを外して飲食中です。唾の小滴を吸い込んだり眼に入ったりで(出典2)感染(飛沫感染)してしまいます。危険にきまっています。そんなこと言っても、軽症であっても熱があるとか、のどが痛いとか、身体がだるいとか何か兆候があるでしょ。だから、熱がある人を、居酒屋に入れなければいいじゃん。という考え方がありますが。そうはいかないのです、実は新型コロナウィルス感染症の場合、発症する(何らかの症状が出る)2-3日前(もちろん無症状)でも、既にのどに充分量のコロナウィルスがいて他人に感染させることがわかっているからです(出典3)。高齢者は、居酒屋には近寄らないのが賢明です(もしかすると、透明パーティションで区切った個別席で換気が充分な低感染リスクタイプの居酒屋さんが出てくるかもしれませんが・・)。同じ理由で、カラオケも危険な場所です。「君子危うきに近寄らず」です。

新型コロナウィルスは案外しぶとい

あと、感染している人が咳をして、その咳を手で受けて、その手で触れた机、ドアノブ、つり革や、ATMタッチパネル、エレベータボタンに、他の人が手でふれて、その手で口や鼻や目を触れたりこすったりすると感染する接触感染についても、見ていきましょう。なぜ接触感染が問題になるかというと、新型コロナウィルスは、物の表面で数時間どころか数日間も感染力を保っているからです。このことを研究してくれたのが米国国立アレルギー感染症研究所を中心とした研究グループです。(出典4)。

図の説明:新型コロナウィルスの環境中の感染力持続時間

新型コロナウィルス もの表面での感染力持続時間
咳で飛び出てきたくらいのウィルス量を各種モノ表面に接種して、どのくらいの時間で感染力をなくすのかを見た図です。縦軸がウィルス生存量。横1線の破線のレベルが感染力消失レベル。横軸がウィルスを接種してからの時間。このデータは、新型コロナウィルスの1人の患者さんから取り出された1種類の臨床分離株でのデータなので、多くの臨床分離株で研究すると、このデータよりもウィルスの生存時間がより短い場合も、より長い場合もあり得ますので、銅表面では1日以内で感染力をなくすが、段ボール、ステンレス、プラスチック表面では数日間は感染力があると記憶するのが良いと思います。

高齢者が近寄らないほうが良い場所 やってはいけないこと

外出時は「街中、ペンキ塗りたて」のつもりで行動して、帰宅時は、洗面場に直行、手と顔を最低20秒間せっけんを使って洗いましょう。つり革、ドアノブ、ATMのタッチパネル、エレベーターのボタンに直接触れたくない人は「ハイジーンハンド」とか「触れないハンド」という商品が売られていますので、こういうツールを使うのも有効でしょう。こうしたツールでも恐らく、バイキング方式あるいはビュッフェ方式のレストランで共有のトングや箸、料理皿の金属カバーの取っ手は触らざるを得ませんので触れた直後に滅菌ティッシュや濡れタオルに手を強く押し当ててふき取りましょう。それから食事です。このようにバイキングやビュッフェは対処方法があるので行くのはOKですが、相当の注意力が必要ですので、高齢者は、できれば避けておきたい場所です。
人間は手で顔に触れるくせがあるのですが、感染の入り口である目口鼻の粘膜部に1時間に平均10回触れるとのオーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究があります。顔のその他の部分も含めると1時間平均で23回も触れているそうです。(出典5)この手からの口鼻粘膜部への感染をブロックするためにもマスク着用は重要ですね。目はマスクでブロックできないので外出時は目をこすりこすりしないように注意が必要です。また、鼻ほじりは、絶対ダメ。やりたければ、指先を滅菌ティッシュで消毒か、お便所で20秒手洗いの後で思う存分やってください。人前でどうにかしたい時は上腕部を押し付けて切り抜けてください。

出典

記事の根拠となっている英語論文を、直接ご覧になりたい方のために出典を示しています。
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出典1:Wu Z. & McGoogan J.M. (2020). Characteristics of and Important Lessons From the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Outbreak in China: Summary of a Report of 72 314 Cases From the Chinese Center for Disease Control and Prevention. JAMA. 2020年2月24日号

DOI: 10.1001/jama.2020.2648

出典2:Zhang X., Chen X., Chen L., Deng C., Zou X., Liu W., … Sun X. (2020) The evidence of SARS-CoV-2 infection on ocular surface. Ocul Surf., 18(3), 360-362.  Epub 2020年4月21日号 DOI: 10.1016/j.jtos.2020.03.010

出典3:He X., Lau E. H. Y., Wu P., Deng X., Wang J., Hao X., … Leung G.M. (2020). Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19. Nat. Med., 26(5), 672-675. Epub 2020年4月15日号  https://www.natureasia.com/ja-jp/nm/26/5/s41591-020-0869-5
出典4:van Doremalen, N., Bushmaker, T., Morris, D.H., Holbrook, M.G., Gamble, A., Williamson, B.N., … Munster, V.J. (2020). Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared With SARS-CoV-1. N Engl J Med, 382(16), 1564-1567. 2020年3月17日号

DOI: 10.1056/NEJMc2004973

出典5:Kwok Y.L.A., Jan Gralton J., & McLaws M.-L. (2015) Face Touching: A Frequent Habit That Has Implications for Hand Hygiene. Am J Infect Control. 43(2) 112-4. 2014年10月15日号 DOI: 10.1016/j.ajic.2014.10.015